
社労士試験は国家試験の一つである以上、
暗記すべき内容はそれなりに多いです。
今回は初学者が最初にぶつかる暗記の壁についての
お話です。
この3つについてはいずれも
全受験者暗記必須ですが、
覚えるのに誰もが一苦労する代表的な内容です。
しかも法改正で変わる可能性が
常にあります。
1:高額療養費(健保)
健康保険の医療費負担は原則3割ですが、
月の負担額があまりに高額になる場合は、
高額療養費が支給されます。
ただし、「せめてこのくらいは超えてないと
支給しないからね」という下限ラインが
設けられています。
この下限ライン(高額療養費算定基準額)が、
原則として以下のように決まっています。
①70歳未満(月負担額21000円以上が対象)
・標準報酬月額83万円以上
252600円
+(医療費ー842000円)×1%
・標準報酬月額53万円以上83万円未満
167400円
+(医療費ー558000円)×1%
・標準報酬月額28万円以上53万円未満
80100円
+(医療費ー267000円)×1%
・標準報酬月額28万円未満
57600円
・市町村民税非課税者等
35400円
②70歳未満の多数該当
(12月以内に既に高額療養費が支給されている
月数が3月以上ある場合の、4月目以降からの
下限ライン)
・標準報酬月額83万円以上
140100円
・標準報酬月額53万円以上83万円未満
93000円
・標準報酬月額28万円以上53万円未満
44400円
・標準報酬月額28万円未満
44400円
・市町村民税非課税者等
24600円
70歳以上もほぼ同様ですが、
市町村民税非課税者等が35400円ではなく
24600円となること、
判定所得が無い者は15000円となること、
外来のみの別枠が定められていること、
月負担額21000円未満でも対象になること、
という点で相違があります。
これを暗記していないと、
以下のような問題が解けません。
(正解は×です)
平成25年度健保択一式問2
標準報酬月額560000円の被保険者(50歳)の被扶養者(45歳)が、同一の月における入院療養(食事療養及び生活療養を除き、同一の医療機関における入院である。)に係る1か月の一部負担金の額として210000円を支払った場合、高額療養費算定基準額は84430円である。なお、当該世帯は、入院療養があった月以前12か月以内に高額療養費の支給を受けたことはない。
2:所定給付日数(雇用)
失業手当が何日分もらえるかについて、
算定基礎期間(被保険者であった期間。例外あり)
と年齢によって、以下のように決まっています。
①一般の受給資格者
・算定基礎期間10年未満
90日
・算定基礎期間10年以上20年未満
120日
・算定基礎期間20年以上
150日
②就職困難者(障害者等)
・65歳未満で算定基礎期間1年未満
150日
・45歳未満で算定基礎期間1年以上
300日
・45歳以上65歳未満で算定基礎期間1年以上
360日
③特定受給資格者(解雇等)
・65歳未満で算定基礎期間1年未満
90日
・30歳未満で算定基礎期間1年以上5年未満
90日
・30歳未満で算定基礎期間5年以上10年未満
120日
・30歳未満で算定基礎期間10年以上20年未満
180日
・30歳以上35歳未満で
算定基礎期間1年以上5年未満
120日
・30歳以上35歳未満で
算定基礎期間5年以上10年未満
180日
・30歳以上35歳未満で
算定基礎期間10年以上20年未満
210日
・30歳以上35歳未満で
算定基礎期間20年以上
240日
・35歳以上45歳未満で
算定基礎期間1年以上5年未満
150日
・35歳以上45歳未満で
算定基礎期間5年以上10年未満
180日
・35歳以上45歳未満で
算定基礎期間10年以上20年未満
240日
・35歳以上45歳未満で
算定基礎期間20年以上
270日
・45歳以上60歳未満で
算定基礎期間1年以上5年未満
180日
・45歳以上60歳未満で
算定基礎期間5年以上10年未満
240日
・45歳以上60歳未満で
算定基礎期間10年以上20年未満
270日
・45歳以上60歳未満で
算定基礎期間20年以上
330日
・60歳以上65歳未満で
算定基礎期間1年以上5年未満
150日
・60歳以上65歳未満で
算定基礎期間5年以上10年未満
180日
・60歳以上65歳未満で
算定基礎期間10年以上20年未満
210日
・60歳以上65歳未満で
算定基礎期間20年以上
240日
3:確定拠出年金の拠出限度額(社一)
確定拠出年金は企業型年金と個人型年金の2種類が
ありますが、それぞれ拠出できる限度額が
年額で決まっています。
①企業型年金
・個人型年金に同時加入できない場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)にも
加入していない者
660000円
・個人型年金に同時加入できない場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)にも
加入している者
330000円
・個人型年金に同時加入可能な場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)に
加入していない者
420000円
・個人型年金に同時加入可能な場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)にも
加入している者
186000円
②個人型年金
・第1号加入者
816000円
(国民年金の付加保険料や国民年金基金の掛金を
含めた限度額)
・第2号加入者かつ
企業型年金に同時加入できない場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)にも
加入していない者
276000円
(中小事業主掛金の額との合計額)
・第2号加入者かつ
企業型年金に同時加入できない場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)にも
加入している者
144000円
・第2号加入者かつ
企業型年金に同時加入可能な場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)に
加入していない者
240000円
・第2号加入者かつ
企業型年金に同時加入可能な場合で、
他の制度(確定給付企業年金等)にも
加入している者
144000円
・第3号加入者
276000円
4:まとめ
今回挙げた基礎中の基礎の3つ以外にも、
呪文のような各法律の目的条文、
申請書の提出期限の日数、
中高齢者の特例の生年月日等々、
他にも覚えることは山ほどあります。
社労士試験の学習は、テキストを読むだけで
それなりに理解ができてしまうため、
つい暗記を軽んじがち、もしくは
暗記していると思い込みやすいところが最大の落とし穴です。
私の場合、健保の高額療養費算定基準額を
初めて見た時「あ、こりゃダメだわ」と
すぐに悟って、
テキストに載っている表をスマホで撮影し、
その表を待ち受けに設定して
スマホを見るたびに目に入るようにして
覚えました。
どのテキスト、問題集でも、このような暗記個所は
見やすく表にまとめられている場合が
ほとんどなので、それをどう活用するかを
自分なりに工夫しないと
合格はあり得ません。
>>次回【社会保険労務関連の罰則で特に重いもの3選】
>>前回【一般的には知られていない、死亡かきっかけでもらえるお金。】
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