
事務指定講習が修了しました。
社会保険労務士になるには、
①試験合格
②2年の実務経験か事務指定講習修了
③登録
という3つのハードルを越える必要がありますが、
今回は②の事務指定講習について、
実際に経験して思ったことを紹介します。
今は①のハードルを越える前の人が
最も苦労している時期と思われますが、
合格後の事情をお伝えすることで、
本試験直前のモチベーションアップに
繋がれば幸いです。
1:実際に要した時間
講習は前半と後半で分かれていて、
前半の課題提出、添削
と、
後半の講義受講と確認テスト
に分かれています。
前半は2月~5月の4か月間
後半は7月半ば~9月半ばの2か月間
が提出期限、終了期限となっていますが、
私の場合、
前半は2月中の1か月間
後半は7月中の半月
で終わらせることができました。
そんなに無理した印象はありません。
平均すれば一日3時間くらいでしょうか?
受講前は「終わらなかったらどうしよう」と焦って
有休まで取ったのですが、
むしろ当初予想していた時間配分が
良い方に狂ってしまい、
時間を持て余してしまったほどです。
感覚的な大変さだけで言えば、
試験合格ための学習のほうが
桁違いに大変です。
それを乗り越えた者にとっては、
期限についてそこまで焦る必要はないと
言えるでしょう。
2:前半の課題提出
適用編と給付編に分かれていて、
それぞれ設定された事例に対して、
必要な書類を書き上げる、というものです。
適用編、給付編それぞれに架空の会社が
設定されていて、
会社名、所在地、電話番号、法人番号、従業員数、
事業主等の会社情報から、
就業規則の抜粋、
従業員の個人情報、
賃金台帳など、
書類作成に必要な資料が一通り提示されています。
事例の具体的な内容は、
適用編では12の事例、
28種類の届出書があり、
会社設立時の新規適用や
概算保険料等の会社に関する手続き、
従業員の資格得喪に関する内容が
中心です。
給付編は14の事例、
22種類の届出書があり、
従業員の状況に応じて、労災や年金、
高額療養費の請求等の手続きが
中心です。
あくまで研修なので、何が何だか全く分からず
途方に暮れるということはありません。
記入する書類は、事例に応じて
順番に並べられていますし、
様式記載例(超重要資料)を見ながら
書けるようにはなっています。
また、誤りが多いことでの再提出
というのも無いので、むしろ
迷った部分はわざと間違って記入し、
添削してもらうことで正しい知識を
身に付ける、ということも必要になります。
質問については電話、FAX、郵送で
可能です。
質問の書式も自由です。手書きでもOK。
郵送でのやりとりは、
返信用封筒も含めて送料は自分持ち
ですが、第四種郵便物として送付できる
ので、切手代は安く済みます。
期限内にすべての資料を提出し、
期限内にすべての添削結果を受け取り、
再提出もない場合には、
最後の添削結果返送の中に
修了のおしらせが同封されている
ので、これを受け取ることで
前半の研修は終了です。
3:後半の講義受講と確認テスト
申込時にeラーニングか面接指導か
を選択できます。
ただし、面接指導とはいっても、実際には
eラーニングと同じ動画を会場で
視聴するだけです。
実際の講師と直接やり取りをするわけ
ではありません。
要は、面接指導は
ネット環境が無い人用ということです。
さて、私はeラーニングを選択したわけですが、
ログイン直後のトップ画面の一部を
貼り付けてみました。

ちょっと細かいですが、
8単元に分かれていて、
それぞれ6動画あります。
講師は全員ベテラン現役社労士です。
各動画はだいたい20分ちょっと、
つまり20分 × 6 × 8で
だいたい16時間で見終わる
ということになります。
内容は、事前に送付されているテキストに
沿ったものですが、カバーしきれない部分は
資料のスライドで説明されます。
必要に応じてノートを取るか、
スクリーンショットかスマホで
撮影しておきましょう。
資料全体をPDFでダウンロードすることも
できます。
なお、動画は繰り返し何度も視聴できますが、
スキップや倍速ができません。
ピンポイントで繰り返し視聴したい場合は、
その部分まで再生されている間、
何か別のことをして待つことになります。
8単元それぞれに確認テストがあり、
それも回答する必要がありますが、
あくまで確認ですので、
1つ終えるのに5分もかかりません。
すべての課題を期間内に終えると、
ログイン画面上に「修了証ダウンロード」
というボタンが表示され、PDFで
ダウンロードできます。
この修了証が、記事冒頭②のハードルをクリアした
証明となります。
非常に重要な書類です。
受講期間経過後はログインできなくなり
修了証のダウンロードも不可能と
なります。
絶対に期間内にダウンロードしなければ
なりません。
また、PCにデータを保存するだけでなく、
USBメモリ等にもバックアップし、
紙でも複数枚印刷しておきましょう。
書面での発行再発行は一切できません。
万が一受講期間内に
修了証をダウンロードしなかった場合や、
データを喪失した場合は、
翌年度の事務指定講習を
改めて申し込み、
改めて一から受け直すしかありません。
4:まとめの感想
受講前は、前半さえクリアできれば、
後半は動画視聴だけなので楽だと思っていましたが
意外と後半のほうが大変でした。
確かに動画を視聴するだけなのですが、
講師は7人のベテラン現役社労士ですので、
その内容は濃厚です。
受講前は、どうせ試験でやった内容の復習程度で、
既に知っていることがほとんどだろうと
高を括っていました。
確かにそういった部分も多かったですが、
そうでない部分については
完全に油断していました。
実務上での体験談なども踏まえて話してくれるので
話自体も興味深いのですが、
それ以上に、社労士試験で培った全知識を
総動員して、あのことはこのテキスト、
この問題集のここに書いてあったな、といった
振り返りが度々必要になるので、
ちょくちょく動画を一時停止して、
いろいろと調べながら視聴することになるのです。
むしろ前半は
「へー、概算保険料の申告書って
こうなってんだー」
とか、
「ああ、試験のあの知識はここで役立つわけね」
という感じで、
事前に不安に感じていた締め切りの
プレッシャーも忘れるくらい、
新たな知識を吸収することが
楽しかったのですが、
後半は逆に、知識のアウトプットを
要求されるという、予想外の事態に
直面したわけです。
そして、前半後半で共通することとして、つくづく
社労士試験に合格するという事実の
重要さを思い知らされた、ということです。
合格した人としていない人との間には、
明らかに歴然とした差があります。
講習の理解度をとっても、
合格する前の私では、
合格後の私と比べると、
おそらく10分の1にも満たないのでは
ないでしょうか。
「社労士試験に合格する」ということは、
物凄まじい経験です。
ドラゴンボールで例えるなら、
重力10倍で修行する、
精神と時の部屋で修行する、
という感じです。
人間としてのレベルが格段に上がります。
今年も本試験間近となりましたが、
受験される皆様も、
ぜひ合格を勝ち取ってください。
>>次回【事務連絡と行政手引って、そもそも何?】
>>前回【社労士試験超直前期の体造り必須4箇条】
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